小さな小さな一軒家「こもれび荘」は、路上生活から抜け出した人たちなど、さまざまな体験を経てきた人々が相談に訪れる場所です。「こもれび」という名前は、これまでの紆余曲折の人生の中で、ここにたどり着いた人々がかすかな光を見出して欲しいという気持ちを込めて名づけられました。
「こもれび荘」では、2004年6月より毎週土曜日、「サロン・ド・カフェ こもれび」を開店しています。コーヒーを片手にさまざまな年代のさまざまな境遇にある人たちが交流できる寄り場として、多くの人々に愛されてきました。いいことがあった人は喜びが2倍に、つらいことや悲しいことがあった人は、その悲しみを半分に。そんな空間をサロンは目指しています。
このサロンの一番人気は挽きたてのコーヒー。サロンが始まって一年目の冬、コーヒーを飲みながら、私たちは考えました。「このコーヒーを自分たちで焙煎することはできないだろうか?」と。
そんなとき、アジアの最も貧しく最も新しい国である、東ティモールのマウベシという村で、コーヒーを生産している人たちがいることを知りました。そして、貧しいながらも懸命にコーヒー豆を栽培している、その村の農家から生豆を購入して、サロンに集まる仲間たちの手で焙煎したいという夢を抱きました。
しかし、コーヒーは飲んでいても、焙煎などやったことがない私達でしたので、作業はとても難航しました。それでもなんとか専門家の方々や支援の皆様からのご協力と励ましを受け、1年間の試行錯誤の結果、「こもれびコーヒー」が完成したのです。
このコーヒーには、たくさんの人々の思いが込められています。サロンに来てくださる方々、スタッフ、支援してくださる人々、おいしさの素となるコーヒー豆を生産してくれる東ティモールの農家の方々・・・
そして今も路上や施設、病院、インターネットカフェなどで毎日不安な日々を送っている、これから「こもれび荘」にたどり着くかもしれない仲間たちへの思い。そうした仲間にも、私たちの思いのこもった1杯のあたたかいコーヒーを飲んで、ひとときでも安らいだ気持ちになって欲しい。コーヒーを通じて、人と人とのつながりを少しずつでも取り戻すきっかけを作り出して行きたいと思っています。そんな思いを込めた「こもれびコーヒー」 ぜひご賞味くださいませ。
「サロン・ド・カフェ こもれび」
コーヒー焙煎プロジェクトスタッフ一同