日坂 ハンドピック.JPG

「安ければそれでいいのか?」

これは私の中の永遠の疑問でした。
といいつつ、「安ければいいわけじゃない」という答えは出てしまっていたりするのですが。

そして私たちの前には、100円ショップや99円ショップ。大手スーパーの安売り商品のちらしが踊る。とりあえず、自分の生活を保つために節約して少しでも楽に生活するために、明日のために私たちはそれを選びます。買い物を終えて、「あー、今日は安くてよいものがたくさん買えたわ。今月もなんとか生活できそうだ」そう思いながら家路を急ぎます。家に帰って、買ってきた商品をあれこれ取り出してみてふと考えます。


それはどこから来たものか?誰が作ったものか?どーして、こんなに安いの?ハタと私は考える。こんなに安いのにはなにか訳がある気がする・・・



こんなふうに日本の貧しい仲間が世界の貧しい人たちを搾取して作ったものを、安く買っています。悪循環があちこちで起こっています。それはもう日常茶飯事。これ、何とかならないのでしょうか?断ち切れない連鎖なのでしょうか?それは私たちの大きな疑問であり課題でした。

そのとき、私たちはフェアトレードという、正規のルートできちんと輸入した製品を売る制度があることをしりました。でも、はっきり言って実際のところそれは中産階級や学識者達のものです。ある程度豊かでそういうものを買う余裕がある人たちのものです。「買いたいけど、私たちには高いよ。」思わず、ため息がでいます。サロンに来る仲間はたぶんそれの存在さえ知らない人たちがほとんどなのです。

でも、知ってどうなるのでしょう?
明日から安い商品を買うのはやめて、正規のルートで輸入された商品だけ買うなんてことはできないけれど、それを知って買うことと、知らないことでは大きく違うと私たちは思っています。

安さの裏にあるからくりを知ることは 、まず日本以外の世界の貧しい人達に目を向けることだと思います。そう、それらのことを知るだけでも意味があります。


でもやっぱり、小さなことでいいから何かしたいんです。なんとか日本と世界の貧困問題をつなぐことはできないのだろう?私たちはずっとそう思ってきました。それにはどうしたらいいのだろうか?

生豆の選別作業①.JPG

そうだ、サロンで毎週出しているコーヒーはどうだろう?フェアトレードの生豆をサロンで焙煎して、自分達でも飲むし地域社会にも広めること。そして実際に、このサロンで遠い外国で貧しい人たちが自分達の生活を支えるために作っているもの(コーヒー豆)を、同じく日本で貧しい生活をしている仲間がそのあとを引き継いで焙煎して、あちこちに広めていくこと。

そのことで、フェアトレードなんて難しい言葉はわからなくても、
なにかが芽生えないか、つながらないだろうか。

そして数年後・・サロンのコーヒーを勧めるときに、
「これは、東ティモールという小さな小さな国の人たちが作ったコーヒーなんだよ。
このコーヒーを飲むことで、その人たちの生活を少しでも助けることができるんだよ。
そしてこれは私たちが焙煎したんだよ!」そんなことばがみんなの口から自然に出てきたら素晴らしいと思うのです。

数年前に、そんな思いを抱いた私たちの夢は今、様々な人々の協力により実現しています。
「世界と日本の貧困問題をつなぐ」取り組みをこれからも続けていきたいと思っています。

*写真 オルタートレードジャパン提供 :ラオスで生豆の選別作業をする人々

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こもれびコーヒーは、東京新宿区にあるNPO法人自立生活サポートセンター・もやいが運営する交流サロンです。フェアトレードのコーヒー豆を焙煎し独自のブレンドを作るという過程を通して、多くの当事者(生活困窮者)が作業にかかわり、喜びと自信を共有するスペースです。また「世界の貧困問題と日本の貧困問題をつなぐ」という大きな課題に取り組んでいます。
アートのワークショップやコーヒーの試飲会などを開催し、地域との交流にも取り組んでいます。